七宝町の家
特徴的な構造を活かした上で、現代生活にマッチするようにリノベーション
築100年の古民家の現地再生。建物は、江戸時代以来の「玉石基礎」である。床面が、不等沈下を起こし、最大で21cmのレベル差が出来ていた。昭和時代によく見られた合板やガラス戸などへの内外装の変更が見られ、古民家本来の良さを取り戻しながら、床レベルの補正や柱梁の水平、垂直を是正し、なおかつ現代の生活に便利なようにというのが、今回の改修計画の趣旨だ。
一口に、「100年の古民家」といっても、地域によって、構造、素材は様々で、林家では、その小屋組と屋根下地に大きな特徴があった。小屋組や洋小屋でも和小屋でもない、合掌に補強を加えた切り妻といったほうが当たっているような屋根構造だ。また屋根の下地は、割り竹を敷き、その上に杉皮を敷き、その上に直に壁土を厚塗りし、その上に和瓦をのせるといった造りであった。この屋根面内観は大変美しく、そのまま新しい空間の天井とした。竹と杉皮の色彩、素材感がよく、新たに設置した断熱材の性能と合わせて、この住居の大きな特徴となった。床面のレベルを揃え、ジャッキアップした状態で、主たる柱や床束の地面部分に鉄筋コンクリート現場打ちの独立基礎を設けた。底盤をささえる地盤は、粗い砂だ。かつての河口の海底だったことが分かる。この砂の地盤は、かなりしまっており、底盤を大きくする事で、不等沈下に対して、十分な安定性を確保できると考えた。(古民家スタイル8 原稿より引用)
所在地
建築設計
設備設計
建築施工
工事種別
構造規模
延床面積
竣工
愛知県海部郡七宝町
株式会社アカデメイア
有限会社館設備設計事務所
伊藤興業株式会社
改修
木造 地上2階
200㎡
2006年3月
写真撮影 齋部 功
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