堀切菖蒲園の家
日本の歴史的木造住宅は
適切に手を入れれば数百年持つ。
「堀切菖蒲園の家」は、かつての財団法人同潤会が80年ほど前に建設した一連の木造住宅だが、同様のものはほとんど残されていない。30年ほど前に、同敷地内での別棟の住宅の新築に伴って、一部が撤去されているが、残りの大半は、創建当時に近い状態で残されていた。
しかし、80年という時間の中で、床は部分的に10センチメートル以上沈み、柱は傾き、外壁、屋根、建具のほとんどの部分が、限界に達していた。
クライアントの方たちの、この住宅への大きな愛着により、建て替えではなく、風情を残しながらの改築となった。建物の良さが何かを考え、歴史を繋ぎ、住空間をその延長上で発展させる、という設計が始まる。
創建当初からのものである、一部の造り付け家具、建具などは、再生する上で、空間の構成要素として重要な存在となった。
日本の歴史的な木造住宅は、適切な手を入れて行けば、数百年の時間に耐えるものだ。
残したいものは、古いものではなく、日本文化の時代を超えた豊かさだ。
所在地
建築設計
建築施工
工事種別
構造規模
施工面積
竣工
東京都葛飾区
株式会社アカデメイア
株式会社中建設
増改築
木造一階建
82.81㎡
2011年11月
写真撮影 今井 俊介/堤 康子
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